十八禁恋愛私花集

「恋愛18禁」とは

ちょっとしたジレンマ

■ 実写アダルトとは異なる、イラストや小説における性描写をネットで公開するに際し、どのように閲覧者の年齢を制限すれば良いのか、意見の分かれるところだと思います。
 特に、性表現のみを主目的としていない創作活動の場合、「18禁」と表記することで自分のサイトが実写ポルノサイト等の風俗産業サイトと同列に語られる事に、抵抗を感じられる方は多いのではないでしょうか。
 
 書籍ならば、多少の性描写を含むものも、普通に本屋で販売されているのに。
 
 中高生には見せたくない。でも「18禁」はちょっと……。そんなジレンマを抱く方は決して少なくないと思います。

書籍とオンライン創作との違い

■ では、ネット上の創作物を書籍と同等に扱う事が出来るのでしょうか。
 
 ここに一篇の「中高生には刺激の強すぎる(好ましくない)物語」が有るとします。
 書籍の場合、中高生がそれを手に入れようとする事に対して、幾つものハードルが存在します。
 
 先ず、それなりに金銭的負担がかかる、という事。
 次に、人目がある、という事。
 保護者の監督の存在や、保管場所等の問題も忘れてはなりません。
 
 決まった額の小遣いをやりくりしなければならない小、中学生や高校生にとって、書籍代は大きな問題です。他に必要な物、欲しい物が有れば、当該本の優先順位は簡単に下がってしまいます。
 それに、いざ大人向けの本を買うぞ、と思い切ったとしても、本屋でそれを手にとって、レジまで持っていって、会計しなければなりません。場合によっては、牽制されたり制止されたりする可能性があるかもしれませんし、何より、人前でそんな本を買うのは、とても勇気の要る事です。
 そうなれば、余程の情熱が無い限り、その本を買うのは「また今度」となる事でしょう。
 
 ですが、インターネットは違います。誰も見ていない自分の部屋で、対価を払う事なく、クリック一つで大人の世界を好きなだけ覗く事が出来るのです。

18禁表記の意義

■ 創作物である以上、どうしてもそこに現れる性的描写は、フィクションを含んだり、都合の良い部分だけが強調されたりします。医学書や保健体育の教科書ではあるまいし、正確で充分な情報をそこに記載する事は不可能でしょう。
 正しい知識のない、夢見がち、先走りがちな十八歳未満の中高生には、誤解や悪影響を与えかねません。
 
 そして、現実世界では存在する「大人」と「子供」の境界が、インターネットの世界では存在しません。
 だから、せめてもの措置として、「十八歳未満閲覧禁止」と年齢制限を設けるのです。
 
 とは言え、「閲覧禁止」と書いたところで、性への興味があるお年頃、見るなと言っても見たいものは見たい。ネット端末が使用者の年齢を判別出来ない以上は、「18禁」という表記に拘束力はありません。なんと警告されようと、「見る奴は見る」わけです。
 
 では、効力の無い18禁表記に意味は無いのでしょうか。
 
 同じ刺激を受け続ければ、ヒトの感覚は簡単に麻痺してしまいます。
 性的な情報に無制限無自覚に接し続ける事によって、中高生がそれに慣れきってしまわないように、「十八歳未満閲覧禁止」の文字は必要だと考えます。
 たとえ警告を無視して閲覧しようとしたとしても、「今、自分は、本来見てはいけないものを見ようとしているのだ」と明確に意識する事は、とても重要だと思うのです。
 
 保護者の庇護の下、自分自身でおのれの行動結果に責任を取ることの出来ない「子供」にとって、性行為やそれに類する行為は決して日常的なものではないのだ、と認識させる上でも、18禁表記の意義はあるのではないでしょうか。

そこで「18禁」を細分化してみる

■ ところが、ここで再び最初にあげた「ジレンマ」の問題が出てきます。
 18歳以下には見せたくない。だが、「18禁」という表示から過大な期待をされてしまっても困る。
 そこで、当同盟は「恋愛18禁」というカテゴリを特に扱う事にしたのです。愛も脈絡も無いいわゆる「男性向け」アダルトと同一視されては支障があるが、でも18禁。
 
 この「恋愛18禁」について、「ネット小説レーティング同盟」様にて、とても興味深いレイティング表記を見つけました。

LR18
高校生以下は閲覧してはいけない。
 Love Romance+R18、の略。恋愛R18。
 性行為の具体的かつ詳細な描写があるものの、性描写そのものよりも、人と人との関係性や心理描写などを重視している。

■ というわけで、「ジレンマ」に揺れる方々には、「恋愛18禁」「LR18」というレイティングを是非ともオススメしたいと思います。

合理的な「住み分け」を目指して

■ 青少年ネット規制法など、現在インターネットにこれまでに無かった規制がかけられようとしています。
 外部からかけられる制限は、どうしても画一的で融通が利かない上に必要以上に厳しいものになりがちです。そうなる前に、我々ユーザ側が節度を持って行動する事によって、理不尽な規制を回避出来ればいいな、と思っています。